とことん「本質追求」コラム第226話 利益をあげる仕組みを作るときの着眼点

 

 

 

「ベトナムでも“テレセールス”は、厳しくなってきています。テレアポの効率を上げる何か良い方法を教えてください。それとも、他の方法をトライした方がよいでしょうか?」

 

先日、ベトナムでのセミナーを開催した際に、懇親会で食い入るように質問をしてくる人がいました。

 

売上をあげ、自分の給与を高めていく貪欲さは、日本人が失ってしまった感覚に思え、何か新鮮な気持ちになりました。

親切心(?)も芽生え、なにか「仕組化」が出来ないか? と突っ込んで考えている自分がいました。

 

これはベトナムでのセミナーでもお伝えしたことですが、月間の予算から逆算していけば、自ずと自らの行動目標がわかり、その行動目標を達成しやすくするためにどのような営業活動を展開すれば良いか…

自ずと決まってきます。

 

仕組みを考えるには、このように数字的なロジックが噛み合うか否か…という視点から展開していくことが大事です。

 

例えば、月間1000万円のノルマを営業マンに与えたとしましょう。

売っている商品は、@100万円です。

すると、月間10件の受注を獲得する必要があります。

その10件の受注を獲得するためには、何件の商談をこなせば良いか…。

商談成功率が50%なら、20件商談を入れればよく、20%なら50件の商談をこなす必要があります。

仮に20件の商談をこなさないと絶対に10件受注には届かない…と分かっていれば、20件の商談を獲得する「何か」を考えなくてはなりません。

 

テレアポなのか、飛び込みなのか、そとれも、DMやホームページなのか…。

 

様々な商談発掘方法の中から、一番効率よく且つ確実性の高い方法論をルーティンワークにしていく必要があります。

 

質問してくれたベトナム人は、残念ながら、数値掌握を行っていませんでした。

 

テレアポは何件にかければ1件取れるか…なんて数えたこともないです。

商談の成功確率だって、その時、その時で全部違いますよね。

 

と、数字掌握することを真っ向から諦めてしまっている感じすらありました。

 

しかし、もし目標を達成したい…。誤解を招きそうで嫌な表現ですが、もっと楽して見込客を集めたい…と願うのなら、個人であろうと組織であろうと、仕組化を意識する必要があります。

 

その仕組化の大前提は、「作業、仕事の内容を数値化する」ことです。

数値化できないもの、数字で考えることができない作業や仕事は、仕組み化には繋がりません。

 

必ず、数字を交えて考える必要があるのです。

 

すると、現実的な仕組みか否かが、すぐさま判断できます。

 

先の例でいけば、20件の商談が必要であれば、それをテレアポで対応するとどのような活動になるのか?

100件に1件アポが取れるのであれば、2000件電話をする必要があります。

1日8時間労働が前提となるなら、どれだけ頑張っても200件が限界です。

これは経験上間違いの無い数字です。

 

となると、10日間は電話の日となる。

20件の商談を残りの10日間でこなすことになるので、1日2件。かなりタイトなスケジュールになることは簡単に想像できます。

 

これが現実であれば、単価をあげるか、1件当たりの受注数を増やすか、はたまた、テレアポを外部化していくか…それとも、WEBに集中投資をして、1名の優秀なマーケッターだけで営業マン全員分の商談を作って行くか…など、いくつかの現実的な方策を考えなくてはなりません。

 

これが仕組み化の発想の原点となるのです。

 

目標をコミットとした上で、それをどう達成するのか…… 成果に繋がっていく仕事を数字に分解・展開した上で、ベストな案を詰めて行かなければ、間違いなく感情論に陥り、目標はなかったことになってしまいます。

 

ちょっと話は違いますが、以前、先輩格の流通専門コンサルタントの先生が「日本はアメリカと比較して生産性が半分以下」と嘆いていましたが、この数字を聞いたときから、アンテナが高くなりました。

 

2倍の差があるということは、例えば従業員が倍いるとか、給与が2倍であるとか、作業の早さが半分であると言ったことが考えられます。

もしかしたら、粗利益に2倍の差があるかも知れません。

 

聞いた話なので本当かどうか分かりませんが、サイゼリヤは100席くらいの店ならコックは1名で回しているとのことです。

ドリアなどのオーブン料理は、ベルコンで焼き上がり時間が一定化されていて、どんなに美味しい新商品企画があっても、そのベルコンの一定時間で焼き上がらなければ、没にするという徹底ようです。

だから、1名でできるのだかとか。

 

この発想であれば、生産性2倍の差は頷けます。

 

とかくアメリカの会社は、作業時間を分析し、何かシステム(仕組み)を入れるときには、どの程度の短縮に繋がるのか、コスト・パフォーマンスはどの程度あるのか…を地道に検証していくようですが…

 

日本の営業現場でも、仕組化しよう!と号令を出したときに、この作業時間分析や投下時間・コストに対する成果の分析視点をもっておく必要があります。

 

往々にして面倒くさがったり、そこまですると誰かに重い責任が発生すると考えて曖昧にしがちですが、それでは何時まで経っても利益のあがる仕組みは作ることが出来ません。

 

ベトナムに行って、改めて気づいたのですが、奴隷と雇用者の文化には、仕組化が定着しやすいく、そうでない日本やベトナムでは、なぁなぁになりやすいのかも知れませんが…

 

それでも、仕事を効率化、仕組化して、反省する材料をしっかりと得た上で明日は何をすべきか?を考えることは利益をあげ、次なる未来を作っていくことに他なりません。

 

御社では、仕組化を計画する際、時間、コストなどの数字的な裏付けをしっかりと意識して取り組んでいるでしょうか?