「営業力と、会社の強みはどう関係あるのでしょうか?」
先日、プロジェクトを立ち上げたばかりのクライアント企業の役員さんから釘を刺すように言われた一言。
つまり「関係のないことは時間のムダだから話さないで欲しい」というご心情から発せられた質問でした。
コンサルタントという単語に嫌悪感を抱いている人がいるのは、よくよく理解していますが、説明は時間のムダなので、プロジェクトを進める中で気づいてもらえれば…と思い、質問に答えることなく、こう申し上げました。
「無かったら貴重な時間を使いません」と。
隣に座っていた社長もため息をもらしていましたが、役員ともあろうとも人が「強み」と「営業力」の因果関係を見いだせないのは、正直言っていただけません。
そもそも「強み」を明確にするということは、「競合他社よりもより良くお客様の欲求を満たせる要素をクリアにする」という事です。
これは営業活動にとって、2つの効用を得る事ができます。
一つ目は、お客様から選ばれる存在になること。
二つ目は、営業マンの士気が向上することです。
まず、お客様から選ばれる存在になる点は、言って見ればアタリマエに聞こえるかも知れません。
が、知っているのと、分かっているのとでは、雲泥の差がでます。
知っていても、意識して使っていなければ、知らないのと一緒です。
分かっているというのは、「強み」を意識して活動する効果・効能を理解しているからこそ、営業活動の至る所に「強み」が表現されている状態を言います。
これは、チラシやホームページ、提案書や会話を見聞きすれば一発でわかります。
よくセミナーでもお話しますが、「主語が変わっても違和感のない営業トークやコピー(文書)は、言うだけムダ」なのです。
つまり「強み」が表現されていないコミュニケーションなら、しない方がマシということです。
ノイズがあると、その瞬間に人々は耳を塞ぐか、聞き流してしまうのです。
例えば、私が大好きな「三原堂の塩せんべい」のコピーをちょっと見て下さい。
「ドイツ産で二億三千万年前の地下層(400~700m)から採掘したホワイトクリスタル(岩塩)をつかった塩せんべい。
このホワイトクリスタルは、全く環境汚染のない時代に自然が創りだしたもので、世界的にも稀少な自然の貴重な塩です。」
よく手土産でもっていく商品ですが「2億3千年前の岩塩で作った塩せんべいです。よかったらお召し上がりください」と伝えています。
持っていた私自身が「強み」を織り込んだ言い回しで、知らず知らずのうちに宣伝しています。
味も良く、一度聞いたら忘れられないコピーなので、概念(見た目と味)と記号(店名とコピー)が強烈にリンクして、記憶に刻み込み易くなっています。
これは、主語(企業名)の取り替えの効かなくなる秀逸なコピーです。
これが「強み」を意識していないとどうなるでしょうか?
「ミネラル成分たっぷりの天然塩を使用した塩せんべいのシンプルな味は、子供から大人まで幅広い層に愛され親しまれております」
これだと、主語(企業名)が、どこであっても同じ宣伝文句・営業トークになってしまいます。
印象に残らないばかりか、他を見てみよう…という意識が芽生えてしまいます。
だから、「強み」のない言葉は言わない方がマシなのです。
強みを軸に削ぎ落とされた営業トークやコピーであれば、見込客は「ドキッ」として、営業の話やチラシ・ホームページなどの媒体に引き込まれ、興味・関心や欲求が刺激されていきます。
営業マンの活動においても、この構造は変わりません。
強みが浮き彫りになるように組み立てられた営業トークと、誰が言っても同じ説明になる営業トーク。
どちらが、商談効率が高いかは明白です。
「強み」をクリアにする重要性は、営業マンの生産性に強く影響を及ぼしているのです。
生産性の低い状態のままで、営業マンに活動させている状態は、竹槍でB29を落とせ! と女学生に訓練させているのと一緒です。
即刻、現状を見直して、営業マンに「戦える武器」…つまり「強み」が織り込まれた営業ツールやトーク術を渡すべきなのです。
これは、2つ目の理由である「営業マンの士気が向上」に強く関係してきます。
競合他社よりも、より良くお客様の欲求を満たせる活動をしている…と実感できている営業マンは、どのような心理になるでしょうか?
自信満々でお客様に提案をするはずではないでしょうか?
反対に「競合他社の商品の方が安くて良いものだけど…仕事だから売らなくちゃ」と思っている営業マンは、どのような心理になるでしょうか?
どこかで自信がなく、背中を押すチカラが弱くなるのは目に見えるハズです。
このように「強み」を浮き彫りにすることは、営業活動をするうえで、集客(見込客発掘)・受注効率に強く影響を及ぼしています。
ムダな営業活動は、営業マンの士気を落とし、負のスパイラルの発生源となります。
だからこそ、「強み」を全社員が理解、伝達できるように、社内周知徹底する必要があるのです。
御社は、強みを浮き彫りし、主語が変わると違和感の出る「セールス・メッセージ」を創り上げた上で、営業活動をしていますでしょうか?
追伸
強みだけでは、自社が有利に戦える状態にはなりません。
「強み」「欲」「時代」の3つの条件が整ったときに、初めて無理なく利益を生み出すビジネスモデルが完成します。
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