とことん「本質追求」コラム第159話 売れる新規開拓チームを編成する「人材」選抜基準

「新規開拓チームを作りたいのですが、どのようなタイプを選抜すれば良いでしょうか?」

 

新しくプロジェクトを開始する際、選任メンバー次第でプロジェクトの成否が分かれると言っても過言ではありません。

 

・  新商品の市場投入
・  既存商品の新販路開拓
・  全く新しい新規事業の開発

 

いずれも、ゼロからイチをつくり出す仕事ですから、おいそれとテキトーに選ぶ訳にはいきません。

そもそも、日本人はイチから2、3、10と発展させる能力は秀でていますが、ゼロ→イチを得意とする人はあまりいません。

 

経験上、5〜10%程度ではないでしょうか?
その希有な存在を見極めるポイントはあるのか…
よく受けるご質問なのですが、ゼロイチタイプを探しだすには、消去法で選ぶことがポイントとなります。

ただでさえ、希有なタイプなのですから、社内にそのような人材がいるとは限りません。
いえ、モロにピッタリと当てはまるタイプは、会社に存在しない方が多いかもしれません。

 

だからといって、外から人材を引っ張る訳にも行きません。
なので、消去法で選ぶことで、環境によって人材を育てる発想をもつことが大切なのです。

 

では、どのような基準でゼロイチタイプを残していくのか……様々な業種のプロジェクトに携わったなか、ゼロイチタイプに共通する人物像をピックアップしてみました。

 

1.根が優しい人

気配りが行き届いて、誰からも人気者! である必要性はありません。

電車なかで年配者に席を譲ったり、いつも自転車置き場で出会うおじちゃんに「おはようございます」と挨拶をしたり、レストランでウエイターさんに「ありがとう」「美味しかったよ」と言葉をかけたり…。

要するに自分が存在することで誰かを喜ばせたり、安心させたり、楽をさせてあげることが好きなタイプです。

何かの役に立ちたい!という慈愛に富んだタイプは、「この商品は誰の役に立つだろうか…」と諦めずに思考を止めない性質をもっている可能性が高いです。

そして、ターゲットが見つけたら「なぜこの商品が役に立つのか…」を一生懸命伝えるタイプでもあります。

ですので、サッパリしたタイプや利己的なタイプ、あまり他者に関心のタイプは、ゼロイチタイプから外していきましょう。

 

2.負けん気の強いタイプ

新しいことをやるときに、何の壁もなくスーッとゴールにたどり着くことは、ほとんどありません。

必ず「やっぱりダメかも知れない…」と意気消沈するほど高い壁にぶち当たるものです。

このときに心が折れてしまうタイプは、ゼロをイチにすることは出来ません。

絶対に負けない…と踏ん張りが効く「負けん気の強さ」が必要です。

理不尽なことを命令して、素直に効く良い子ちゃんタイプは、ゼロイチタイプから外していきましょう。

しかし、負けず嫌いと言っても、一つのことを固執してしまう頑固者は頂けません。好奇心旺盛である必要があります。

 

3.好奇心が旺盛な人

好奇心が旺盛なタイプは、いろんな所にアンテナがはっているので「あの手、この手」と諦めずに次の打ち手を考える人が多いです。いつも同じ食堂でご飯を食べるタイプよりも、新しい店がオープンするとスグに駆けつけるタイプ。新しい家電が出ると、カタログを取り寄せたり、即買いしてしまうタイプも好奇心旺盛タイプです。(ジャンルは何でもOKです)

また、様々なジャンルの本を多読するタイプは有望です。

知りたいことがたくさんあるから多読するのです。従って、多読家は「あの手、この手」を思いつく下地が出来上がっている可能性が高いです。

生活パターンを変えない人、昔から趣味が一緒な人は、好奇心が旺盛であっても保守性が高くチャレンジ精神が希薄な可能性が高いですから、ゼロイチタイプから外した方が無難です。

ただ、あともう少しで結果が出るのに次の打ち手に目移りしてしまったり…と粘りのないタイプも考えものです。

 

4.粘りとスピードのバランス感覚のある人

雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)の如し、どんなに小さな力でも、根気よく続けていればいつか成果が得られるものです。

しかし、起業家ではなく、企業内起業の性質の高いプロジェクトの場合は、2年も3年も結果が出ないなんてことは許されません。

どこまで粘り、どこから次の一手に打ってでるべきか…

そのポイントは、企画時に立てた「仮説」が成功しなかった理由を、次の一手で改善できる策があるか否か…を煮詰める能力が必要となります。

この時、客観的、自己責任的に説明できることが重要です。

上手く行かない理由を自分以外の責任に転嫁するタイプは、ゼロイチタイプではありませんから、プロジェクトメンバーには入れてはいけません。

 

5.専門家としての知識・プライドを持っている人

特に法人営業には必須のことです。

高額商品を取り扱っているのなら、尚更その必要性が高まります。

私が「新規営業は、質より量だ!」という主張に真っ向から否定しているのは、ここに理由があります。

高い買い物をしたり、リテール(小売)側が責任をもって顧客に販売するバイヤーさんである場合は、売り手に高い専門知識がなければ、安心して付き合うことが出来ません。

優良顧客であればあるほど…。

相手のレベルが高ければ高いほど、その傾向は顕著で、「専門知識の高い売り手」と付き合いたがります。

質の高いお客様との付き合いは、自社のレベルをも引き上げます。

新規開拓で大切なことは、目に見える売上も大事ですが、レベルの高い顧客と付き合い、ブランド力を築くことも最上位課題なのです。

 

行動量をあげるまえに、顧客の期待を上回ることが出来るまで「質」をあげることが肝心です。

 

以上、5つの要素を出来るだけ多く持った人物が残るまで、消去法でメンバーを選りすぐれば、残ったメンバーはいわゆる「類は友を呼ぶ」状態になります。

 

最初はお互いにギクシャクするかも知れません。

が、本質が一緒の人間同士は、目標を同じくすれば、波長が合い始め、ゴールまでの道のりにチカラが集中し始めます。

 

プロジェクト成功の最大要因になる「人材抜擢」。

御社の選抜基準は明快に決まっていますか?

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