「プレゼンテーション技術に長けていますね。ぜひコツを教えてください」
先日、某大手人材研修会社が主宰する経営者・幹部クラスの勉強会にお呼ばれして、セミナー講師を務めさせて頂きました。
お陰様でご好評を頂き、たくさんの皆様から「個別に相談に乗って欲しい」と言われたのですが、その中で、話の内容そのものではなく、話し方についてのご相談もありました。
それが冒頭のご質問です。
最初はお断りをしようと思ったのですが、よくよく考えると「プレゼンテーション技術」は、新規開拓における重要な技術となる業種もたくさんあるので、お引き受けすることにしました。
と言うのも、1対1のコミュニケーション技術がとても上手い営業マンでも、意外と、1対n(多数)になると、苦手意識を持っている人が多いものです。
これは非常に勿体ないです。
1対1のコミュニケーションは、時間の制約によって人に伝えられる人数が限られますが、プレゼンなら、その制約はありません。
1000人は入れるホールなら、30分で1000人に伝えることが出来ます。
1対1のコミュニケーションなら、3万分…500時間も必要です。
一日8時間労働とすると62.5日もかかる計算になります。
改めて考えると、とてつもなく非効率です。
日本人は、皆の前で話すことに苦手意識を持つ人が多いと言われていますから、徹底的に練習すれば、それだけでも営業活動のおける「差別化要素」にもなります。
ただ、難しいのは、その習得方法を間違えるとかなり苦労をする…という点です。
と言うのも、こういったテーマでよく話を聞くのは、話し方というと、「講師業」「アナウンサー」出身の先生に習ってしまうケースが後を絶たないからです。
正確にモノゴトを正しく伝えるということが「ゴール」なら、「話し方」のプロに習うべきです。
しかし、プレゼンのゴールは、あくまでも「契約」です。
ここから全てを逆算して習得していかないと、ゴールにたどり着くまでに、ムダな時間を膨大に費やすことになります。
従って、契約にもっていくためのプレゼン技術…つまり、1対nにセールスをする技術は学ぶには、セールス出身で、かつパブリックスピーキングをキチンと身につけた人から習う方が、ベストです。
と言う訳で、一応私もパブリックスピーキングの技術を習得してきたので、これから、本コラムで「契約にもっていくためのプレゼン技術」をお伝えてしていきたいと思います。
内容に入る前に、まず初めに大勢の前で話す事に緊張してしまう方には、覚悟をして頂きたい事があります。
よく「どうすれば緊張しなくなりますか?」と聞かれますが、答えはただ一つ徹底的に練習するということです。
私の場合で言うと、相当「緊張するタイプ」だったので、最初のころは2時間のセミナーでも、最低20時間は練習していました。
習いたてのころは、その10倍の練習はしていました。
それだけ練習すれば、はっきり言って誰でも大勢の前で話せるようになります。
ただ、冒頭にも申し上げた通り、話すことが目的ではないので、購買心理に沿った話の構成の方が重要です。
話し方が、多少雑であっても、途中何回かどもってしまっても、かりに記憶が飛んで流れが悪くなってしまっても…
「購買心理に沿った話しの構成」さえ出来ていれば、結果は出ます。
しかし逆はありません。
購買心理に沿った内容でなければ、どれだけ流暢にしゃべろうが結果は出ないのです。
それだけ「話をする構成」が大事になるのです。
結果の出る構成としては、以下の5つのポイントに注意をして、話す順番を組み立てていきます。
1.これから私(当社)は、どんな話をするのか…を3秒以内に伝えます。
⇒ 聞き手の頭のなかに、引き出しを作っていきます。その引き出しにどんな情報を入れて行くか…アウトラインを冒頭に話すことで、伝えたい内容を理解してもらいやすくなります。
2.なぜ、私(当社)がその話をするのか?
⇒ 商品やサービスをプレゼンするならば、その商品が社会から必要とされている背景を話します。逆に言うと、その商品を利用しないと被るであろう損失を話すのです。ここで、話を聞く準備をしてもらうことが大切です。
3.なぜ、私(当社)の話を聞かなければならないのか?
⇒ 会社説明をしてはいけません。これほど退屈な時間はありません。聞き手はあなたの会社にも貴方にも興味はありません。私に対してどんな利益をもたらしてくれるのか…なぜそれをあなたの会社が出来るのか…それだけが知りたいのです。
4.私(当社)は、貴方(御社)に対して、どんなベネフィットを提供できるのか?
⇒ 商品の説明はしてはいけません。顧客は欲しくなったら、あとから質問してきます。それまでは、この商品やサービスから得られるベネフィットに焦点を当てて話をしていくことがポイントです。
5.私(当社)は、どんなミッションを抱いて、この事業に取り組んでいるのか?
⇒ 商品から得られるベネフィットで購買欲求がわき、なぜ御社から買う必要性があるのかを理解し、さらにその商品を買わない損失も理解したら、購買欲求は頂点に達します。
しかし、行動に移してもらうには最後の一手が必要です。
この事業に取り組んでいる“想い”を話すことで、共感を得るのです。
この構成がしっかりと整理され、かつ自己満足に陥っていなければ、聞き手のハートをしっかりと掴まえられます。
ぜひ、プレゼン技術を磨いて、事業成長の加速エンジンとして利用してみてください。