とことん「本質追求」コラム第147話 展示会で優良見込客を集める方法

前回の「展示会の出展効果を高める「営業体制」のつくり方」の続きで、どうしても抑えておきたいことの一つに「見込客のつくり方」があります。

これは、前々から展示会に出展している大多数の企業さんで、本当にもったいない…と思うことの一つでした。

 

展示会に出展する目的は、言うまでもなく「新規見込客の獲得」であるはずです。

主催者が、来場者を何千人、何万人と集客する努力をして会場に見込客候補をたくさん集めてくれます。

ブースの前には、見込客候補が商店街を闊歩するがごとく溢れ、なんとか引き込んで見込客にしたい…

ブースのデザインや呼び込みなど、あの手この手をつかって興味を惹き付ける努力する…。

 

しかし、これに甘え頼りすぎていては「優良見込客」の獲得は出来得ません。

 

なぜなら、この構造は何も意図しなければ、いつかは「風景」と化してしまうからです。

 

もちろん、初めての展示会に出展するときは全てが新鮮なので、さほどは意識しなくても良いかも知れません。

ただ、展示会を単発で考えるのはなく、事業として継続的な見込客獲得の場としたい…と仕組みで考えるのであれば「意識」しなくてはいけない事があります。

 

それは、展示会を「狩猟の場」として捉えるのではなく「農耕プロセスの場」として捉えることです。

 

前述の通り、長年展示会に出展していると「風景化」という現象は必ず訪れます。

出展者の顔ぶれも一緒だし、来場者の顔ぶれもさほど変わらなくなります。

 

ときどき目新しい人が来て、見込客となり受注に繋がるかも知れませんが、そんな「一筋の光明」にかけるのは、投資と言うより博打に近い感覚だと言わざるを得ません。

 

つまり「展示会に行けば、見込客は出来るさ!」という発想は、なんら主体性がなく天からの恵みを待つようなものなのです。

 

農産物が育つように「雨乞い」をするのは無意味…と思うのと一緒です。

農産物に水が必要ならば用水路を引くなりして、必要なときに必要な量だけ水を撒けるようにインフラ整備に努力をするのが近代的な発想です。

 

これと同じ発想で展示会に「投資」をする…というからには、見込客獲得の計画なりロジックなりをしっかりと説明できるまで明快にプロセス化する必要があるのではないでしょうか?

 

例えば、展示会のスケジュールは半年先、一年先として既に決まっています。

そこまでポーッと営業マンが口をあけて待っているシュチエーションを想像すると、ここまで読んだ方なら、物凄くもったいないと思うはずです。

 

以前「営業戦略の立て方 – まずはどこに焦点を当てるか?」にも掲載した図になりますが、最もコストがかかり、最も受注確度が低いのが「潜在客」となります。

顧客の状態管理

 

「潜在客」は、当社の名前も知らないし、商品の特徴も知りません。

そもそも顧客対象になるかどうかもわかりません。

 

主催者が集めた来場者で、自社のブース前を通りかかる人は、皆この「潜在客」ですが、この層へのアプローチ結果に過度に期待するのは投資対効果から見れば、あまりにも無謀です。

 

それよりも、「浮遊客」に着目すべきです。

「浮遊客」とは、当社と一度は接触した方々です。

つまり、以前の展示会で名刺をもらった方々。

営業が飛込みやテレアポで接触を図った方々。

または、ホームページやDMから問合せが来た方々。

など、我が社と何かしらの接点を持った方々を「浮遊客」と呼びます。

 

一度「商談」したこともあり、何かしらの理由で顧客化できなかった人達も同様に、この「浮遊客」となります。

 

もちろん中には、まったく顧客対象外となる方々もいるでしょうが、それが明確であれば、そもそもリストに入れる必要がありません。

それ以外の「もしかしたら…」という「浮遊客」は、キチンとリスト化をはかり、接触・育成を図っていく必要があります。

 

期間誌なり、メルマガなりで「我が社の考え方」「新商品発表」「新機能発表」「お客様の利用法」「社長の気づき」などを、継続的に発信し、信頼関係を日々築いておきます。

 

そして、ここぞ!というタイミングで展示会に集客を図っていくのです。

以前、とあるクライアントさんで全営業マンから名刺を集めたら6000件もの浮遊客リストが出来上がりました。

 

このリストに対して、読むだけで有益となるようなメルマガを発信し続け、およそ1ヶ月間(全4回)発信したあとに、東京ビックサイトで開催した「展示会」のセミナーに集客を図りました。

 

すると…

以前は、パラパラだった展示会上内のセミナー席がすべて埋まり、立ち見客まで現れたのです。

 

「潜在客」から「見込客」を期待するよりも、「浮遊客」から遷移(せんい)させる発想で100分1以下のコストで「見込客の発掘」ができた計算になります。しかも、単なる「見込」ではなく「優良見込客」の発掘が…です。

 

大切なことなので繰り返しますが、展示会で新しい出会いを期待しすぎてはいけません。もちろん、そのための出展ですから望みたい気持ちはわかります。

 

しかし、過去の展示会や営業活動などに投資をして途中まで掘った穴に目を向けず、新たな金脈を探しに旅を出るのは、二重のコストが掛かると言う現実に着眼する必要があります。

 

そうすれば、おのずと「やるべきこと」は決まってくるはずです。

 

御社は、途中まで掘った穴を集中的に掘る作業…つまり浮遊客との定期接触・深掘り活動にチカラを注いでいらっしゃいますでしょうか?