とことん「本質追求」コラム第634話 社内マーケティング担当者の適材を見抜く性格分析テストとは

「マーケティング部を新設するにあたり、人選に迷っています。ちょっと相談に乗っていただけますか?」

部門横断チームによる組織営業力を強化のお手伝いをするなか、営業と技術を統括する「マーケティング部」の必要性を感じる企業が多くなっている印象を強く受けています。

大手企業でもサントリー、味の素、ワコールなどで、社長直轄型の部門横断型マーケティング組織を新設するところも出てきており、時代的なテーマだとも強く感じます。

なぜ、部門横断チームが必要なのか?

一言で言えば、顧客の潜在・顕在ニーズが急激に変化するなか、それに即時適応させていく必要性が高まってきたことが背景にあります。

従来の縦割り組織では、情報共有や意思決定に時間がかかり、変化のスピードに追いつけないケースが多く見受けられます。

それにも関わらず、セクショナリズムが働き、営業と技術の関係性は悪化。

その結果、業績向上にむけての努力が空回りしているのに、さらにお互いに責任のなすりつけ合いをしているケースが、驚くほど多くの組織の共通課題となっています。

負の連鎖は即刻断ち切る必要性があります。

営業は売ることが仕事。技術はつくることが仕事だという低い視座から脱しなければなりません。

営業も技術も、顧客を満足させることで対価をもらっているわけです。
共通の課題は、未来顧客の中に眠っているのです。

未来の顧客を見つめ、彼らが置かれた環境に寄り添い、より良い満足を満たすために、我々は何ができるのか?
この問いを解決していくのが、マーケティングの仕事です。

さて、ここで頭を抱える課題が登場してきます。
どんな人材がマーケティングに適しているのでしょうか?

まず、前提条件からお話しさせてください。

マーケティング能力は、教育では向上させられない…という残酷なる真実があります。
教育の存在を冒涜(ぼうとく)しているわけではありません。
しかし、教育を施せば、誰でも能力が発現するというのは誤解だと認識する必要はあります。

教育は、潜在能力がある人に対し行なったときに、能力が開花します。
潜在能力が内在していない人に対して行なっても、無意味なのです。

能力は遺伝的なものであり、教育の持続的効果は限定的です
詳しく知りたい方は、安藤寿康先生の『日本人が知らない遺伝の真実』(SB新書)を読んでみてください。

残酷なエビデンスがズラズラと並んでいますが、藤冨も経験上同書で書かれた真実は正しいと感じています。

今日のコラムはそれを前提にして書き綴っていきます。

では、どうやって社員の中から、マーケティング能力を内在している人材を発掘すれば良いのでしょうか?

その答えの一つに「性格分析」を挙げることができます。

安藤先生も同著(遺伝の真実)の中で、性格分析テストの有用性を解いていますが、マーケティングに向く人材にはいくつかの特性が備わっている必要があります。

まずは、好奇心旺盛であることが絶対条件となります。

未来の顧客に対して、好奇心を持って接することができなければ、彼らの心の中に入り、彼らの視界から物事を眺めることはできません。

マーケティングの仕事の目的は「顧客の創造」です。
未来の顧客を発掘すること。
または、既存顧客を維持するための動機づけを創造していくことです。

顧客に興味関心を持ち、寝ても覚めても、そのことで頭がいっぱいになるような人物でなければ、成果を生み出すような仕事はできません。

誤解を恐れずに言うならば、9時から17時まで働いて、家に帰ったら枝豆をつまみにビールを飲んでスポーツ観戦することが日常のようなサラリーマンではできない仕事なのです。

顧客の創造に対して、好奇心旺盛であること。
逆に言うと、自己愛があまり激しくない人が適しているとも言えます。

自分の発言や行動パターンに固執するタイプだと、顧客に寄り添った考えができずに、物事を自分の都合の良いように歪曲してしまう可能性が高いので、ファクトに向き合うことができません。

ファクトに真摯に向き合う好奇心が、マーケティングの仕事を遂行する上で、最も大切な要素となります。

次に、「情報収集や思考のクセ」と「情報処理や判断のクセ」の2点に着眼する必要があります。

情報収集や思考のクセは、2つのタイプが存在しています。

「感覚型」と「直感型」です。

感覚型は、具体的な現実や事実に目を向けるクセが強いタイプです。

周囲からは着実で規則正しく地に足のついた捉え方をすると評価される傾向のある人ですが、残念ながらマーケティングには不向きです。

ファクトを掴むことは大事なのですが、事実だけに固執すると全体が見えなくなってしまうからです。

顧客の声なのか、それとも市場の声なのか。
ファクト(事実)を掌握した後、抽象度を高めて、俯瞰する思考がマーケティングにおいては重要なのです。

そういった意味では「直感型」は、物事の関連性から通底する本質を見ることを好みますから、マーケティング能力が内在しています。

物事を推測するときに、一般論や方程式がないと紐解けない「演繹法」タイプより、複数のファクトから一定の法則性を見つけ出そうとする「帰納法」タイプが適任です。

マニュアルがないと動けないタイプか。
それともマニュアルがなくても、創意工夫で仕事をこたなせるタイプか…
そんなタイプ分けでも「感覚型と直感型」を分類することができます。

つぎに、「情報処理や判断のクセ」ですが、これも2つのタイプが存在しています。

「思考型」と「感情型」です。

思考型は、物事の関係性を紐解き、論理的に判断しようとするタイプです。
一方、感情型は、自分の価値観や人間関係の調和に重きを置いて判断しようとするタイプです。

日本人には多いタイプで、同調行動ができる人なのですが、周りの意見に流されてしまう傾向が高いので、マーケティング戦略を企てるのには向いていません。

そもそも論でいえば、マーケティングの原型は戦争に由来します。
古代から現代に至るまで、戦略を練り、状況を分析し、勝利を収めるための手法が戦争には数多く含まれています。
この戦略の考え方がビジネスの場で応用されたものが、マーケティングです。
敵(競合他社)の動きを分析し、自社の強みを活かしながら市場(戦場)で勝利を収める。まさに、マーケティングには戦略的思考が不可欠なのです。

同調圧力に負けない「思考型」タイプの方が、マーケティング担当者には向いています

そして、最後に付け加えるなら、企画担当者は、臨機応変な行動パターンを好む「知覚的態度」の人が向いていますが、最終判断する人は「判断的態度」の人が向いています。

これらの特性判断は、MBTIという性格分析で知ることができます
本人の心理テストだけだと「思い込み」や「理想の自分」で答えてしまうので、信憑性には若干欠けますが、それでも的を射抜た目安を得ることは可能です。

安藤先生は、MBTIよりも、ビック5の方が信ぴょう性が高いと同書で書かれていますが、テスト結果の真偽性は第三者による観察や面接で十分にカバーできますので、使い勝手のよいMBTIを藤冨はオススメしています。

今、深く関与をさせて頂いているクライアント企業さん数社でも分析を進めていますが、かなりの確率で適任を抽出できることがわかってきました。

御社も、適材適所の参考資料として、MBTIによる性格分析テストを取り入れてみませんか?


◾️MBTIは、無料の性格診断テストです。

 世界三大心理学者であるユングの著書「心理学的類型」に基づいてマイヤーズが発案した自己申告型のアンケートです。 個人が世界をどうのように認識し、物事への決定を下すかについての心理学的な選好を示すものです。

【無料テスト】https://www.16personalities.com/ja/%E6%80%A7%E6%A0%BC%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88