とことん「本質追求」コラム第109話 効果的な営業スタイルの答えを知る方法

「もうテレアポ作戦は諦めました」

 

先週末、富山県に講演に行った帰りに、サラリーマン時代に一緒にお仕事をしたIT会社の社長と久ぶりに酒席を共にしました。

 

中堅外食チェーンのシステム構築をお手伝い頂いたのですが、14年前からずっと細く長く繋がっています。

 

その酒席で、何気なしに、今後の営業方針にまで話が発展しました。
今度営業が入ったのでテレアポをやろうかな…って思っているんですよね。と。

 

とある営業本を読んで感銘を受け、まさに実践に移そうとしたタイミングだったのですが…。
どうも上手くいくニオイがしてきません。

 

と言うのも、その本はある業界で圧倒的なトップシェアを誇る一部上場企業のトップセールスが書いていて、さらに対象顧客も、大手企業です。

 

テレアポ成功率が10%を超える…と聞きましたが、それはそうです。

業界では先駆的な商品を開発しているトップシェアの企業が、大手企業にアポを取る訳ですから、成功率が高いのは当たり前。

 

私自身、新人営業マン時代に一日200件のテレアポを毎日こなし、当時の社長から「宇宙人」とか「マシン」とか呼ばれていて、成果もそこそこ出していましたが、それでも最初の頃は0.5%くらいの確率でした。

つまり200件電話をして1件アポイントが取れる…という酷い確率です。

 

ところが、営業経験を積み、中堅大手にテレアポをすると、統計こそ取っていませんでしたが、驚くほど高確率でアポが取れました。

 

テレアポというのは、電話を掛けるリストの質、商品の際立った特徴の有無、対象の企業規模や、役職クラスなどの変数によって、雲泥の差が出てしまうモノなのです。

 

なので、言葉が悪く申し訳ないと思いながらも、古くからのお付き合いなので進言させて頂きました。

 

「社長、無名の会社が突然電話を掛けるのと、有名企業が電話を掛けるのとでは、まったく次元が違いますよ。人間は見えないもの、良くわからないものには恐怖感を覚えます。恐怖感を覚えるから、とにかく逃げようとする。これがテレアポで起こっている心理状態です。大手企業は、その最初の壁がそもそも低いんです」と。

 

するとエンジニアでもあるロジカル思考の社長はすぐさま「それはそうだ、テレアポは止めよう!」と即断即決。

 

「では、どうすれば良いの?」とご相談を受けたので、戦略を立てる上での前提条件を色々と伺うと…

 

・営業の方は私(44歳)よりも年長で、しかも営業は未経験。ゴリゴリタイプではなく、どちらかと言うと声も小さめ。(飛び込み営業はちょっと難しい?)

 

・提供しているサービスのクオリティは高く、地場の有力企業とも取引実績がある。

 

・しかし、提供サービスは一言ではメリットが説明できにくい業務システム。

 

・  地方都市なので、営業先も限られている。

 

・  パッケージシステムもあるが、そのまま売れるケースは多くなく、受注毎にカスタマイズが発生する可能性が高い。

 

これらの条件を鑑みると、まず大切なことは、屈強な営業力に頼らなくても、1件1件の成約率を最大限に高めなくてはなりません。

 

営業先(リスト)の分母が少ないのですから、なるべく高い確率で懐に入り込める策を練る必要があるのです。

 

そのためには、まず「我が社が、なぜお客様から支持をされているのか」を正しく認知してもらうことが重要なポイントとなります。

 

多くの企業が取り組んでおらず、かつ導入することで、経営改善効果は目に見えるものがあるシステムなので、事実を伝えるだけで「潜在客」から「見込客」へと昇華する確率は極めて高い。

 

そのための仕組みづくりをした方が、がぜん効果的な営業体制の確立ができるのです。

 

目先の結果を出そうとすると「何を」「どうやって売るのか…」とWhatやHowに目がいきがちです。

しかし、その前に考えなければならないことがあります。

顧客は、なぜ我が社を必要とするのか…。

このWhyの問に答えることが、見込客を顧客へと導く「ブリッジ(橋)」を築いてくれるのです。

なぜ、我が社は存在しているのか?
なぜ、当社商品を世に出されたのか?
なぜ、当社商品は選ぶ必要があるのか?

何をどうやって売るのか…というWhatやHowの世界は、誰でも真似できます。

しかし、当社商品を購入しなければならない理由…つまりWhyへの回答は、競合他社には真似できません。

この答えを持つことが結果……効果的な営業スタイルを確立する上での強固な土台となるのです。

御社は答えられますか?

なぜ顧客から必要とされているのか…を。