とことん「本質追求」コラム第105話 営業戦略の立て方 – まずはどこに焦点を当てるか?

「どうもウチの営業は、行き当たりばったりの行動をしているようで…」

2014年初頭、とある社長さんからご相談を頂いた内容をもとに、営業の皆さんと定期的にミーティングをしている会社があります。

・  新規開拓の実践状況
・  見込客の進捗状況
・  既存顧客のフォロー

売上を上げるための具体的な行動を把握しながら、課題の抽出を行っているのですが…

 

これでは「社長が行き当たりばったりと感じているのもムリはない…」という現状が次々と浮かび上がってきました。

新規顧客の開拓は、パートさんのテレアポ案件を対応したり、問い合わせ対応のみ。マンネリ化した作業になっており「知恵」を出そうという空気が感じられません。

 

テレアポからリードした売上なのか、問い合わせからリードした売上なのか…

その集計すら出来ておらず、無駄なコストなのか、有効な投資なのかも判断できない状態でした。
これは、営業戦略の立て方を詰める以前の話です。

さらに、大半の営業の方は、先月も先々月も「見込客」の顔ぶれが変わっていない案件が、かなり多く見受けられました。

これには、強い危機感を覚えざるを得ません。

 

詳細を伺うと

 

「現在、見積を提出して検討してもらっているところです」

「窓口の担当者がいま関係部署にネゴしている状況です」

「提案書は提出したのですが、それからは進んでいません」

 

予感は的中。

 

営業の方には、明確なルールがないため、自らの仕事が甘くなってしまっていたのです。

 

そもそも「見込客」とは、商談が進んでいる状態です。

もっと明確にルール化すると、「次のアクションが決まっている提案先を「見込客」と呼ばなければなりません。

 

「来週電話をして、決済に至るまでの状況を確認する」
「関係部署を巻き込んだ打ち合わせを依頼する」
「提案内容がマッチしているか、再度協議をするアポを取る」

 

など、アクションが決まっていないものは、見込客リストから外さなくてはいけないのです。

 

なぜなら、これが営業マンの「心理状態」に大きく影響するからです。

 

営業マンは、「見込客」がいると何故か安心してしまいます。

人間は、状況を楽観的捉える傾向がある…と言われている通り、見込客リストが埋まっていると“きっと、どこかは受注できるだろう”“たぶん予算達成くらいの売上はあがるだろう”と妙な錯覚をしやすくなってしまうのです。

 

従って、この甘い認識を排除する仕組みを、組織のルールとして動かす必要があります。

 

たとえば、次のアクションが明確でない営業先は、見込客ではなく「浮遊客リスト」に移動させ、見込客がいない…という正しい現状をしっかりと認識できる環境を整備する…など、営業部の共通認識を作り出すのです。

 

すると、見込客リストがスカスカになり、何とか新規見込を増やさないとマズイ状況になる…という認識が芽生え、適度な緊張状態が生まれてきます。

 

適度な緊張感は、成果を生み出す土壌作りには欠かせません。

 

このように「見込客」の定義を明確にルール化するだけで、売上があがる企業もあるほど、これは効果的です。

 

 

下図は、私がよく皆様にお伝えする際に使っている「顧客の状態管理」の図式ですが、この状態を営業マン全員が意識することで、組織的な営業活動の必要性、個人的な営業活動のやるべきことが決定されていきます。
顧客の状態管理

 

潜在顧客から見込客に持って行く手段は適切か。

・問い合わせのみでストップしている先、商談が滞りっている先である浮遊客見込客へと移動させていくための手段は適切か。

見込客顧客化するための商談プロセスは適切か。

顧客ファン化させる運営方法は適切か。

・  浮気客敵視客に対する対処は適切か…。

 

 

ひとつ、ひとつを吟味することで、我が社にとっての営業戦略の立て方が明確になっていくのです。
どの施策に焦点を当てれば、最も売上があがりやすいか?
改めて本質を追求しながら整理してみると、新たな気づきが生まれてくるでしょう。

 

 

 

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