とことん「本質追求」コラム第546話 自主性のない社員が動き出す!正しいトップダウン制とは?

 

「新規事業を検討させようと社員に指示を出したのですが…本当に社員は動きませんね。どうしたものかと頭を抱えています」

以前、新規事業の創案・立ち上げプロジェクトをご一緒させて頂いた社長さんに、藤冨よりたまたま閃いたアイデアをLINEで送ったところ「それ面白そう!」と大盛り上がり♪
ところが、社内で検討させようとしたところ、全く動かないとのこと。
どうしたものかと頭を抱えていました。

しかし、本質論を突き詰めると、全くもって悩む必要性なんてありません。
できないなら、やらせないだけ。
それ以上でも、それ以下でもありません。

そもそも論として、なぜ社員に任せようと思うのか?
その問い自体を考える必要性があります。

「社員の自主性を重んじたいから」
「社長からの指示命令が強いと、社内がギスギスして離職率が増えるから」

などの答えが返ってくるのが、目に見えますが…
同社社長曰く「トップダウン制の時は、利益体質だったんです。しかし離職率が高かった。今はボトムアップ制を意識していますが、利益が出にくい体質になった。みんな仲良しで社内の雰囲気は良いのですがね…」と苦笑いしていました。

ここまで来ると結論は見えています。
「トップダウン制」に戻すべきなのです。

世界が認めた天才、イエール大学の助教授「成田悠輔」の研究テーマを重ね合わせて見ると、これはもう断言しても良いレベルです。

成田氏は、民主主義は経済が劣化してきているが、中国やロシアなどの先制主義国家は、経済を成長させていることをデータ上から明らかにしています。
氏は、ウイルス感染やIT(情報技術)ビジネスの成長、ウェブ上の情報拡散など、現代は、常人の直感を超えた速度と規模で反応が爆発する世界になっている。
そのスピード感に、民意を取りまとめようとする民主主義は、追いついていけない。
だから、コロナにおいても、先制主義国よりも、コロナの死者数が多かった…という研究結果を発表しています。

東京都立大学教授である宮台真司氏においては、「民主主義の成否は、民度に依存している」として、「クズが増えた社会において、民主主義は機能不全になる」と指摘。
多くの反感を買ったものの、氏が言っていることは本質中の本質。
事実、成田氏がデータとして開示した通りなのです。

これを会社組織に重ねてみましょう。
「パワハラ、ブラック企業は最悪!」と、ろくな義務も果たさず、自らの権利だけを主張する社員が、日本中に増殖してきた事実を考えると…
「クズ社員が増えると、会社は機能不全に陥る」と言う事実が浮き彫りになっていきます

刺々しい言葉なので、嫌悪感を抱く人も多いかも知れませんが、これも紛れもない現実。

そろそろ「誰もがイキイキと働き続ける会社」とか、お花畑が咲く様な思考回路を本気で切り捨てる必要性に迫られていることを自覚する必要があるのではないでしょうか?

ウォルトディズニーや3Mなど時代を超えて、生存し続ける企業を研究したジェームス・C・コリンズ氏もこう断言しています。
「優れた企業には、優しさや自由奔放を許す文化はなかった。自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをハッキリさせているので、自社の厳しい基準に合わせようとしない社員が働ける余地は少なくなる傾向にある」と調査・分析結果を発表しています。

これを踏まえると、トップマネジメントのあり方が見えてきます。

自らのビジョンを明確に示し、そのビジョンを実現するための「実行プロセス」を明らかにした上で、適材適所に人材を配置する。

いわゆるトップダウン制を正しく実行することが、ポスト民主主義の時代には、強く求められてくるのです。

但し、トップダウン制も一歩間違えると、空中分解しやすいリスクを孕んでいます

社員から反感を買い、駄々下がりのモチベーションの社員を抱えやすいトップダウン制は、ビジョンの土台が主観的である場合です。

上層部のビジョンは、どこから生まれたのか?
なぜ、そのビジョンに向かう必要性があるのか?
ビジョンを達成したら、自分たちのポジション、生活は、どの様になるのか?
客観的かつ、理性的なビジョンを示す必要があります。

主観的・感情的なビジョンでは、今の世の中、誰もついていきません。
自分では、客観的・理性的な判断と思っても、社員から「また社長の思い込みかよ…」と思われてしまって、強い推進力は生まれません。

そんなビジョンなら、私も参加したい!と、会社の成長=社員の自己成長 につながる様な設計図を社員に示すことができれば、高いエネルギーで組織を引っ張ることができるようになります。

成長戦略を実行するには、高いエネルギーが必要です。
すんなりとサクセスの道は開けないため、七転び八起き…挫けない知力と体力が必要です。

その推進力となるのが、客観的な現状分析から導かれた理性的なビジョンです。

人間力で社員を牽引することも大事ですが、それ以上に今の時代では、ビジョンで牽引することが大事です。

御社は、正しいトップダウン制を採用していますか?