とことん「本質追求」コラム第514話 人の心を読むことが経営の要である

 

「商品が欠品しているから、オンラインショップを再開できないです。需要がどの程度あるのかも見込めないし、生産量と生産頻度の決定が難しいですね」

 

もうすぐ決算期を迎える企業のコンサルティング現場で、売上をもっと伸ばす方策を検討していた際に、気になる現象が起こっていました。

 

現在、同社の商品は業界で注目の的となっており、YouTuberが取り上げたのを機に販売店には注文が殺到しているとのこと。

 

しかし、肝心のオンラインショッピングサイトでは「売り切れ中」

これでは、お客様が買いたくても、買えません。

 

事情を聞くと、2つの理由で対策が滞っていました。

 

一つは、上述のとおり、欠品しているのでオーダーを受けても出荷できない状態にあること…

 

二つ目は、「商品名」を検索した際に、上位表示されているページ以外に新商品の販売ページがあること…

 

この2つの前提によって「何もしていない」 という状況でした。

 

人気YouTuberに取り上げられた結果、Googleのキーワードプランナー(※)を調べると、商品名での検索数が900%もアップしている状態で、検索数も3000件程度。

※キーワードプランナー:特定のキーワードがGoogleで月間どの程度検索されているかを確認できるツール

 

商品名でこれだけの検索数があれば、少なく見積もっても月間300件、しっかりと導線対策を行えば500〜600件のオーダーを受けることが出来ます。

 

と言うのも、お客様は買いたい!といって、手をあげている状態です。

しかし、たどり着いたサイトは、売り切れ。

残念な顔をして諦めている人々が、目に浮かぶ状態です。

 

中には、血眼になって流通在庫を探す人もいるでしょう。

ニュースリリースからのわかりにくいリンクから、ようやくたどり着いた新商品ページも、旧版との差異が瞬間的には理解できない説明書き。

これでは、「販売成立」にたどりつくのは、奇跡的と言わざるを得ません。

 

売上を上げたい! 

それは、同社の社長のみならず働くスタッフ全員も同じ思いです。(←非常に真面目で、やる気のある会社です)

 

でも、YouTuberが取り上げた商品に興味津々の人々がたくさん彷徨っている状態。

 

これに適切な対処を施さずして、他の営業努力をしているのは、非常にもったいないことが、俯瞰してみるとわかるはずです。

 

ここまで読んだ人は、「そんなことあるの?」と思うかも知れませんが、このようなケースは、決して同社に限ったことではありません。

世の中の多くの企業も、同様の過ちを犯していることをよくよく見かけます。

 

なぜ、そのような過ちを犯すのか?

その原因となる、よくありがちな「勘違い」をピックアップしてみましょう。

 

 

1.  在庫がないから売れない(商品がないから売れない)

 

「ん? 商品がないから売れない? それってアタリマエでしょう」と、思いましたか?

 

確かに「モノの動き」だけを見れば、商品がないから売れないのは正しい認識です。

 

しかし、経営というのは、「ココロの動き」に着目しなければなりません。

「ココロ=心」の動きこそ、経営の要を握ります。

 

商品がない=売り切れ という状態だった場合、あなただったらどう思いますか?

わざわざ自宅から1時間もかかるところから電車で来ていたら、どう感じますか?

 

「うわっ、売り切れだって。最悪だなー」って、残念がりませんか?

 

ホームページだって一緒です。

貴重な時間を割いて、ようやくホームページを見つけたのに、売り切れ。

もうこの時点で、このお客様は下手すりゃ一生「顧客」にはなってくれないわけです。

 

これまでの商品を一生懸命に企画開発したり、プレスリリース を出したり、ホームページを作ったり、営業マンの人たちが汗水たらして歩き回った努力の結果、検索してくれていたとしたら…

 

全ての努力が水の泡となります。

お金もドブに捨てたのも一緒。

決して、浮かばれることはありません。

 

大袈裟なことを言っているように聞こえるかも知れませんが、お客様の視点から見れば、これが真実です。

 

営業をしていると気づきますが、お客様の心は「秒単位」で揺れ動きます。

Timing is Money  (タイミング イズ マネー)

見込客が、欲しいかも…って思ったその瞬間にセールスに動くことが、絶対的に大事なのです。

 

最近ホームページで資料をダウンロードすると、5分も立たないうちに電話がかかってくる会社がありませんか?

実はあの体制を取り入れると、商品によっては、コンバージョン率が10倍以上も向上するんです。

通常だったら、サイトに訪れた人が100人いたら、1人買うか否か…という確率ですが、資料をダウンロードした人は、冷やかし(競合)か、興味のある人のどちらか。

 

興味のある人でも、資料をダウンロードして、印刷しているうちに、他の電話がかかってきて気が散ったら、もう面倒くさくなって

「まっいっか」になってしまう人が大半なのです。

 

だから、すぐに電話をかけて「一緒にみましょう」と促しながら、見込客の質疑に答えていると自然と成約率が高まるもの。

 

買うか買わないか…タイミングが肝を握っているのです。

 

だから、在庫がなけりゃ「予約受付中」にしておけば良いだけ。

新商品なら、「先行受付中」にしておけば良いだけの話です。

そしたら、需要も読めるから生産計画も立てやすい!

売り手もハッピーで、お客様も喜ぶ。 まさに Win-Winの関係が築けます。

 

錦見鋳造(株)の魔法のフライパンは2年6ヶ月待ちです。

行列が行列を生む。

ココロの動きを読んで、商売の意思決定をすることが大事です。

 

 

2つ目は、「 説明すれば、わかってくれる」という勘違いへの対応です。

 

よく見ると、詳細へのリンクボタンがあって、そこで説明している…と、思っているかも知れませんが、それはあまりにも乱暴な考えです。

 

実際、統計では…

 

と書き続けたいのですが、長くなってしまうので、次週にお伝えしたいと思います。

 

それでは、また来週!