「商品が欠品しているから、オンラインショップを再開できないです。需要がどの程度あるのかも見込めないし、生産量と生産頻度の決定が難しいですね」
もうすぐ決算期を迎える企業のコンサルティング現場で、売上をもっと伸ばす方策を検討していた際に、気になる現象が起こっていました。
現在、同社の商品は業界で注目の的となっており、YouTuberが取り上げたのを機に販売店には注文が殺到しているとのこと。
しかし、肝心のオンラインショッピングサイトでは「売り切れ中」
これでは、お客様が買いたくても、買えません。
事情を聞くと、2つの理由で対策が滞っていました。
一つは、上述のとおり、欠品しているのでオーダーを受けても出荷できない状態にあること…
二つ目は、「商品名」を検索した際に、上位表示されているページ以外に新商品の販売ページがあること…
この2つの前提によって「何もしていない」 という状況でした。
人気YouTuberに取り上げられた結果、Googleのキーワードプランナー(※)を調べると、商品名での検索数が900%もアップしている状態で、検索数も3000件程度。
※キーワードプランナー:特定のキーワードがGoogleで月間どの程度検索されているかを確認できるツール
商品名でこれだけの検索数があれば、少なく見積もっても月間300件、しっかりと導線対策を行えば500〜600件のオーダーを受けることが出来ます。
と言うのも、お客様は買いたい!といって、手をあげている状態です。
しかし、たどり着いたサイトは、売り切れ。
残念な顔をして諦めている人々が、目に浮かぶ状態です。
中には、血眼になって流通在庫を探す人もいるでしょう。
ニュースリリースからのわかりにくいリンクから、ようやくたどり着いた新商品ページも、旧版との差異が瞬間的には理解できない説明書き。
これでは、「販売成立」にたどりつくのは、奇跡的と言わざるを得ません。
売上を上げたい!
それは、同社の社長のみならず働くスタッフ全員も同じ思いです。(←非常に真面目で、やる気のある会社です)
でも、YouTuberが取り上げた商品に興味津々の人々がたくさん彷徨っている状態。
これに適切な対処を施さずして、他の営業努力をしているのは、非常にもったいないことが、俯瞰してみるとわかるはずです。
ここまで読んだ人は、「そんなことあるの?」と思うかも知れませんが、このようなケースは、決して同社に限ったことではありません。
世の中の多くの企業も、同様の過ちを犯していることをよくよく見かけます。
なぜ、そのような過ちを犯すのか?
その原因となる、よくありがちな「勘違い」をピックアップしてみましょう。
1. 在庫がないから売れない(商品がないから売れない)
「ん? 商品がないから売れない? それってアタリマエでしょう」と、思いましたか?
確かに「モノの動き」だけを見れば、商品がないから売れないのは正しい認識です。
しかし、経営というのは、「ココロの動き」に着目しなければなりません。
「ココロ=心」の動きこそ、経営の要を握ります。
商品がない=売り切れ という状態だった場合、あなただったらどう思いますか?
わざわざ自宅から1時間もかかるところから電車で来ていたら、どう感じますか?
「うわっ、売り切れだって。最悪だなー」って、残念がりませんか?
ホームページだって一緒です。
貴重な時間を割いて、ようやくホームページを見つけたのに、売り切れ。
もうこの時点で、このお客様は下手すりゃ一生「顧客」にはなってくれないわけです。
これまでの商品を一生懸命に企画開発したり、プレスリリース を出したり、ホームページを作ったり、営業マンの人たちが汗水たらして歩き回った努力の結果、検索してくれていたとしたら…
全ての努力が水の泡となります。
お金もドブに捨てたのも一緒。
決して、浮かばれることはありません。
大袈裟なことを言っているように聞こえるかも知れませんが、お客様の視点から見れば、これが真実です。
営業をしていると気づきますが、お客様の心は「秒単位」で揺れ動きます。
Timing is Money (タイミング イズ マネー)
見込客が、欲しいかも…って思ったその瞬間にセールスに動くことが、絶対的に大事なのです。
最近ホームページで資料をダウンロードすると、5分も立たないうちに電話がかかってくる会社がありませんか?
実はあの体制を取り入れると、商品によっては、コンバージョン率が10倍以上も向上するんです。
通常だったら、サイトに訪れた人が100人いたら、1人買うか否か…という確率ですが、資料をダウンロードした人は、冷やかし(競合)か、興味のある人のどちらか。
興味のある人でも、資料をダウンロードして、印刷しているうちに、他の電話がかかってきて気が散ったら、もう面倒くさくなって
「まっいっか」になってしまう人が大半なのです。
だから、すぐに電話をかけて「一緒にみましょう」と促しながら、見込客の質疑に答えていると自然と成約率が高まるもの。
買うか買わないか…タイミングが肝を握っているのです。
だから、在庫がなけりゃ「予約受付中」にしておけば良いだけ。
新商品なら、「先行受付中」にしておけば良いだけの話です。
そしたら、需要も読めるから生産計画も立てやすい!
売り手もハッピーで、お客様も喜ぶ。 まさに Win-Winの関係が築けます。
錦見鋳造(株)の魔法のフライパンは2年6ヶ月待ちです。
行列が行列を生む。
ココロの動きを読んで、商売の意思決定をすることが大事です。
2つ目は、「 説明すれば、わかってくれる」という勘違いへの対応です。
よく見ると、詳細へのリンクボタンがあって、そこで説明している…と、思っているかも知れませんが、それはあまりにも乱暴な考えです。
実際、統計では…
と書き続けたいのですが、長くなってしまうので、次週にお伝えしたいと思います。
それでは、また来週!