武士道「義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義」

■義
人間としての正しい道、正義を指すものであり、武士道のもっとも厳格な徳目である。

■勇
勇とは、義を貫くための勇気のこと。勇気といっても、わざと危険を冒して討ち死にすれば単なる犬死にである。武士道ではこれを匹夫の勇と呼びさげすんだ。
「義みてせざるは勇なりき」人として行うべきことをわかっていながら、それをしないのは臆病者である。

■仁
仁とは、人としての思いやり、他者への憐れみの心のこと。
武士の情けには、仁の精神が内在している。弱き者や負けた者を見捨てない心、高潔で厳格な義と勇を男性的な徳とするならば、仁は女性的なやさしさ、母のような徳。

■礼
礼とは他者に対する優しさを型として表したものである。
仁の精神を育て、他者の気持ちを尊重することから生まれる謙虚さがつまり礼の根源である。

■誠
誠とは文字通り、言ったことを成すこと。「武士に二言なし」という言葉は、武士道の徳目のひとつ、誠から生まれた。
心と言葉、行いが一致し、嘘がないことで得られる信頼を勝ちとることが大切である。

■名誉
名誉の観念は外聞や面目などの言葉で表されるが、裏を返せばすべて「恥」を知ることである。
「恥ずかしいことをするな」「対面を汚すな」「人に笑われるぞ」
武士の間では羞恥心を知ることを幼少の教育においてまずはじめに行われた。
侍の妻たちは、金よりも名誉を重んじる夫のために、笠や提灯作りの内職で家計を支えた。女は武士の主君に対する忠義心と同じくらいの思いで家を守り、身を清く保った。それを内助の功という。

■忠義
忠義とは主君に対する絶対的な従順のことである。
しかし、主君に媚びへつらって機嫌をとる者は軽蔑された。
主君と意見が分かれるときは、堂々と反論するのが家臣のとるべき忠節の道とされた。