とことん「本質追求」コラム第497話 激変する時代の生き残り策。「波及営業」がカギを握る

 

「また新種のコロナが脅威になりつつありますね。これ以上、経済活動を制限されると、ウチも生き残りが難しくなってきます」

 

先日、酒席をお供した社長が、ポツリと呟かれました。

聞けば、南アフリカなどで見つかった新型コロナウイルスの「オミクロン型」が香港や欧州に流入し始めているとのこと。

少し調べてみると、先週末、世界保健機関(WHO)は、同ウィルスを最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類。ワクチンが効きにくい性質や高い感染力を持つ可能性を指摘し、各国政府は水際対策を強化するために渡航制限をかけ始めていました。

 

その影響を受け、株式市場も世界同時安が進行。

国際通貨基金(IMF)は、パンデミック(世界的流行)により、1930年代の世界恐慌以降で最悪の経済危機に直面するとの見通しを示しています。

 

ドラッカー氏 が52年前に執筆した「断絶の時代」が、いま鮮明に現実化されつつある…と藤冨は感じています。

 

ちなみに、時代が変わるとき、いきなり新しい時代へは移行しません。

必ず、進行と後退を繰り返しながら、少しずつ時代が変わっていきます。

 

以前、日本セブンイレブンの創始者である鈴木 敏文氏が、「変化のスピードが速いのではない。時代は輪切りになっていて、その入れ替わりがスピードアップしているだけだ」と鋭い見解を示していました。

出典及び正確な表現は忘れてしまいましたが、書籍か雑誌でそれを読み、藤冨は強い衝撃を受けました。

まさに、その通りだ!と。

 

今後、日本のみならず世界的に、時代の輪切りの入れ替わりがスピードアップしていくのは、間違いありません。

良い方向に行くのか、悪い方向に行くのか、わかりません。

ただ、激動の時代に立たされることは間違いありません。

 

特に経営者にとっては、試練の時を迎えます。

と言っても、個人的には、とてもワクワクしています。

面白いじゃないか! やってやるぜ!! と、アドレナリンが放出し、挑戦欲を刺激しています(笑)

 

理由は簡単です。

生き残り策で大事なことは、事業企画から販売までの立ち上げを以下にスピーディーに行うか?がカギを握るからです。

 

これは藤冨の得意分野。

これまで携わったクライアントさんの評価を聞いても、「単独でやったら、とんでもなく時間がかかっていた」と言われるプロジェクトばかり。

 

事業化のスピードアップは「どれだけ試行錯誤の引き出しを持ち、迅速に行動できるか?」にかかっています。

 

時々「そんなに事業化が得意なら何故自分でやらないのか?」と尋ねる経営者もいますが、自ら事業をやっていたら、経験値が増えていきません。

たくさんの実践者(経営者)と関わっているから、試行錯誤の正答率が蓄積され、藤冨の引き出しが蓄積・整理されていくわけです。

 

コンサルタントは、「的確な試行錯誤を繰り返せる”知的倉庫屋”」だと定義するとしたら、自ら事業を行うことは、タイムロス以外の何者でもありません。

(それでも、面白い事業なのに誰もやらないと、やりたくなりますが、笑)

 

事業活動に「正解」はありません。

確実に「成功」するノウハウも存在しません。

 

あるのは、「このケースには、この方法論があたる確率が高い」という引き出しを開けて、実践すること。

そして、市場の反応を確認しながら、もっとアクセルを踏むべきか、それとも別の引き出しを開けて実践すべきか…を判断することだけです。

 

 

もちろん、波及営業という「鉄板のプロセス」には、必ず倣って進めていきます。

「鉄板のプロセス」は、購買心理に深く根差しているため、どんな時代になっても変化しないためです。

 

ターゲットを絞ること

信用の移転効果を高めること

拡販するツールを作り込み、的確に市場に伝達すること

 

この3つのプロセスも、事業化のスピードを早める究極のロジックだと藤冨は自負しています。

 

ターゲットを絞る理由は、「同調行動」を起こさせること。

つまり、類友をカテゴライズして、横展開を早めることで、売上を立てるスピードが早まります。

また、売り手も、同じ購入動機を持った人たちと接することで、その属性心理への理解が深まり、こう言えば響くかも!という経験値が濃縮されていきます。

結果、受注確度が高まり、営業活動のスピードアップが図られます。

 

信用の移転効果は、買い手のセールストークに対する担保です。

RIZAPが、有名人を起用してダイエットのBefore-Afterを見せているのも、まさに信用の移転効果を働かせている営業技術です。

「私たちのメソッドを使えば、3ヶ月でブヨブヨ体型から筋肉隆々の体型に変身させます!」と宣伝しても、見込客は「本当かなー???」と売り手の営業トークを斜に構えて聞いています。

その「本当かな?」という疑念を取っ払う「何か?(信用を移転させる要素)」が必要なわけです。

業種、業態によって、それぞれ適切な「見せ方・伝え方」が変わりますが、何れにせよ「信用の移転効果」を働かせる「何か」が必要で、これが営業活動のスピードアップを図る重要な要素となっています。

 

そして、最後は、それを「どうやって的確に市場に伝達するか?」に意識を集中させることが大事。

鯛を釣るのに、渓流に行く人はいません。

イノシシを狩に行くのに、海に出掛ける人はいません。

自社の顧客となり得る人たちは、どこに生息しているのか?

 

釣りや狩に「営業」をなぞらえるのは好ましくありませんが、わかりやすくお伝えしたいので、寛容いただきたいですが…

 

獲物によって、好物となる「餌」が変わるように、営業も、ターゲットが食いつく「商品の魅せ方」というのが存在するわけです。

 

この「商品の魅せ方」は、とても重要で、同じ商品であっても簡単に売上が4倍、5倍にも膨らんでいくのです。

 

売上額のみならず、拡販スピードも倍速で実現することができるようになります。

 

 

時代が激変するときには、「営業のスピードアップ」が生き残り作戦にとってとても重要な要素となります。

 

運命を託した営業戦略をモタモタしていたら、いつの間にか時代が変わっていて、当初の企画が陳腐化してしまっていた…。

 

時代が輪切りになっている時代は、このような悲劇が繰り返されてしまうのです。

 

激動の時代は、もうすでに始まっています。

御社は、営業のスピードアップに対する「対策」を、今から準備していますでしょうか?