とことん「本質追求」コラム第492話 選ばれる理由を言語化できると業績は着実に向上する

 

強み=選ばれる理由という表現はすごく新鮮でした。よく言われる強みって、わかるようでわからないのですよね

 

先週開催されたコンサルEXPOでオンラインセミナーに登壇した際、参加者の方から感想メールが届きました。

 

40分という非常に短いセミナー枠だったので、十分にお伝えすることが出来ませんでしたので、本コラムで少し掘り下げてお伝えしたいと思います。

 

昨年12月の「とことん本質追求コラム」でも『第446話 買い手を魅了する「自社の強み」の作り方(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/7552/)』と題して、強みの作り方をお伝えしましたが、今回はさらに具体的に藤冨の「強み発掘アプローチ」を公開したいと思います。

 

このアプローチは、私が23歳の時に修行させて頂いた新商品開発コンサルティング会社「日本オリエンテーション」の中核ノウハウを応用したものです。

従って、世の中には出回っていません。

 

そんなノウハウを何故公開するのか?

 

理由は簡単です。

そうそう簡単には習得できないからです。

 

日本オリエンテーションでは『商品開発36時間プログラム』というセミナーを40年以上開催し続けています。

今も現役です。

日本の名だたる製造業が参加しています。

http://www.jorien.com/service/seminar/36hrsprogram/list.html

 

今は20時間セミナーになっていますが、売れる商品を企画する仕事に携わる人は必聴セミナーです。

 

新商品企画や開発に携わる方はぜひ機会を作って、参加してみて下さい。
http://www.jorien.com/service/seminar/36hrsprogram/list.html

 

私が勤めていた時に参加されたある製薬会社のマーケティング部長が『このセミナーは凄い。凄すぎて大半の参加者は消化できないんじゃないか?』と言っていたのを今でも鮮明に覚えています。

 

メソッド自体は、非常にシンプルです。

しかし、シンプルが故に奥深い。

 

藤冨が関与した企業は、最初にこの商品コンセプトをクリアにしてから「強み(=選ばれる理由)」を見出し、売れるメッセージに変換して、ホームページやDM、営業マンのトークスクリプトなど、見込客接点に漏れなく組み込んでいきます。

 

しかし、1回目で、これだ!という「商品コンセプト」をまとめる企業は、ほぼ皆無です。

顧客は誰?

その顧客は、どんなメリットを享受するの?

それはどんな場面で?

競合よりも、それは優れているのですか?

 

たった4つの質問に答えるだけなのにです。

 

抽象概念だとイメージがつきにくいので、直近でご相談を頂いたケースを少し内容を変えて事例として取り上げてみましょう。

 

A社は、アメリカ製の知育玩具の日本総代理店です。

アメリカでは、連邦教育省も推奨している「地頭」を遊びながら鍛えることができるものです。

製品としては、とても優れているのは、すぐに理解できます。

 

ただ、社長が思うようには売上が伸びない。

販売チャネルは現在「ネット」だけ。

集客は、デジタル広告に集中していました。

 

まずは、商品コンセプトを書いてもらいました。

 

・ターゲット:3040代の小さな子供を持つ主婦

・効用:地頭が良くなる

・場面:自宅

・競合:他の知育玩具

 

なるほど、商品説明のまんまですね。

 

売上が頭打ちになっている状況下で、商品説明の域から脱却できない商品コンセプトのままだと、残念ながら、限界を突破することはできません。

 

広告費が日増しに増えていくわりに、売上はさほど伸びず、収益を圧迫していくのは時間の問題です。

 

また、個人を相手に商売をしている限り、市場の認知コストが膨大にかかることも念頭に置かなくてはなりません。

 

市場への認知コストここでは広告費などの売上につなげる投資を回収するだけの「利益」が取れれば構いません。

しかし、玩具を一つ売っても、得られる利益は1万円にもなりません。

バックエンドもありませんから、新商品や新サービスを開発しない限り、LTVも期待できません。

LTVとは、ある顧客から生涯に渡って得られる利益のことを言います)

 

ビジネスの構造を伺っただけでも、苦しい展開を強いられているのがわかります。

 

実際、藤冨が想像した「課題認識」はズバリ当たっていました。

 

であれば

 

商品コンセプトを見直して、強みを再構築すべきです!と提言しました。

他の知育玩具が想像もつかない方法で、「強み」を発揮すべきなのです。

 

例えばの方向性を示してみましょう。

 

・ターゲット:幼稚園・保育園、児童施設など

・効用:新たな集客コンテンツの入手(地頭が良くなる教育をしますよ!)

・場面:新たな時間割の創出

・競合:恐らくはない?そうです。

 

これはあくまでも「一例」です。

他にもまだまだ強力に推進できる方向性が見出せるコンセプトが出ましたが、同社の競争力維持のため、非公開とさせて頂きます。

 

 

が、方向性としては、上述のように発想するのが「正解」です。

理由を言いましょう。

 

まず「ターゲット」が法人であること。

・受注単価が上がる(複数購入してくれる)

・白地リストが入手できる(攻めの営業ができる)

・横展開しやすい

などのメリットが享受できます。

 

横展開しやすいのは「効用」を咀嚼すると理解できるはずです。

 

地頭が良くなる教材を入手して、それを謳い文句に集客できるのであれば、投資は惜しみません。

アメリカの連邦教育省が推奨しているのであれば、それも謳い文句にできる。

集客できるという期待に対して、投資が安ければ、やらない方が損です。

 

そして、この戦略を他の知育玩具メーカーが本当に採用していなければ、しめたものです。

 

全国の幼稚園・保育園、児童施設とパイプが作られれば、今教育に必要な情報が同社に継続的に流れ込む「インフラ」が確立できるのですから。

 

それが確立されれば、バックエンドも提案し放題です。

 

これができて初めて「強み」といえます。

なぜなら、知育玩具をキッカケに現場が求めていることを情報収集し、それをベースに現場に即した最高の提案ができるわけです。

 

つまりその時点で「選ばれる理由」として、十分な要素を獲得しているのです。

 

 

営業マンに売上を上げろ! とハッパをかけるのも良いですが、もっと「強み」つまり「選ばれる理由」をクリアにする戦略を創造し、それを徹底させていった方が、急がば回れ

 

着実に会社の右肩上がりのレールを敷くことができます。

 

御社は、「お客様から選ばれる理由」を商品コンセプトを使って説明できますか?