とことん「本質追求」コラム​​第490話 営業部門とマーケティング部門を融合すると事業は躍進する

 

「藤冨講師のセミナーって、”波及営業”って謳っていますけど、マーケティングですよね」

 

先日、クライアントさんが主宰した販売代理店向けのセミナーで、販売方法の共有のためにお話しした際、参加者の社長がずばり指摘をしてきました。

結論から言うと、当たらずとも遠からず…です。

波及営業は、マーケティングと営業を融合した「セールスの仕組み」です。

 

藤冨は、マーケティング専門のコンサルティング会社での経験値、それとITベンチャーでの泥臭い営業マンとしての経験値があります。

 

勤めていたマーケティングコンサルタント会社のクライアント企業は、誰もが知る大手企業のマーケティング部門やR&D部門でしたが、そこでの会話は営業部門を軽視する声がよく聞こえてきていました。

 

・商品とマーケティング戦略が秀逸であれば、必然的に売れること

・営業部門は、販売店(コンビニやスーパー、自動車であればカーティーラーなど)との中継ぎだけで、売上と能力に相関関係がないこと

 

などが、彼らが営業部門を軽視していたポイントだったと記憶しています。

 

営業部門が見込客を自らの能力で発掘し、自らが商談を行って受注する体制ではないことが、軽視される前提となっていることもありますが、往々にして「営業マンは脳みそまでも筋肉でできている」と小馬鹿にする人が多いのも現実です。

 

営業部門も、同じようにマーケティング部門を小馬鹿にします。

マーケティング部門は、机上の空論ばかりで現場を知らない。現場にこそ答えがある。頭でっかちじゃ、業績は伸ばせないよ…と。

 

しかし、本質的にはマーケティングと営業の最終目標は同じです。

「顧客満足を追求しながら、利益を上げること」です。

マーケティングの目的は「顧客の創造」ですが、結果「利益」につながります。

 

どちらも目標を持った同志なのに、なぜお互いに小馬鹿にし合うのか。

 

相手を小馬鹿にすることで己の自己重要感を高めているのでしょうか。

それとも、相手の仕事への理解が足りないのでしょうか。

 

いずれにしても、全く意味のない思考パターン・行動習慣です。

 

商品がなければ、営業マンは仕事の仕様がありません。

見込客の発掘がなければ、営業マンは商談の場がありません。

 

営業部門がいなければ、現場にモノが流れていきません。

直販体制をとっている企業であれば、そもそもモノが売れません。

営業マンがいなければ、貴重な現場の声を拾って、競争力の維持・向上を図ることもできません。

 

 

どちらの「機能」も重要であり、何一つ無駄なことはないのです。

お互いが尊重しあうことで、より「顧客に支持される企業」になります。

 

そう実感したのは、藤冨が26歳の時でした。

マーケティングの世界で「売れる商品のあり方」を学んだあとに、営業現場を経験しました時のことです。

 

マーケティングコンサルタント会社では、売れる商品を企画する一番のポイントは、はじめの一歩で商品(ハード)を企画しないことだと叩き込まれました。

誰にどんな場面で、どのような満足を提供するのか…。

まずはコンセプトを開発して、その次に、コンセプトを魅力的に表現するためにハードを企画するのです。

 

この重要性が脊髄にまで浸透していたので、ITベンチャーでは、商品を売るのではなく、コンセプトを売ることを強く意識していました。

結果は、入社1年目でトップの成績を叩き出しました。

朝6時に出社しテレアポをしたり、社長や営業部長の経験値に少しでも触れようと、毎晩飲みの付き合いもしてきたので、努力も人一倍しましたが…

 

それでも、当時の商談を思い出しても、コンセプトを売る!と言う発想がなければ、まとまらなかった商談ばかりです。

 

マーケティングと営業は、思考も行動も連携を深めれば深めるほど、効果的であるのは間違いありません。

自信と確信を持って、お伝えします。

 

特に私が営業マンだった時代と異なり、インターネットが社会に浸透した今、デジタルマーケティングによる見込客発掘の重要性が強く求められています。

 

藤冨が関与した企業は、営業部門とマーケティング部門を統合しているところが大半ですが、多くの中小企業は営業部門とマーケティング部門は別々の担当者であることが多いです。

 

統合方法は、決して形式的ではなく事業活動の思想から統一性を持たせないと意味がないので、ここでは説明しきれませんが…

 

マーケティング と営業部門がバラバラで活動していると、セクショナリズムが働きやすくなるので注意が必要です。

 

例えば、マーケティング部門がホームページからの問い合わせを増やす活動をしている際、彼らのミッションは、問い合わせ件数を増やすことになります。

 

しかし、営業部門からすると、質の悪い問い合わせが増えると、無駄足ばかりになり、労多くして功少なしになります。

 

もっと「質の高い問い合わせを増やしてくれよ!」と、マーケティング部門に文句が出始めます。

マーケティング部門は、「せっかく見込客を渡したのに、その後のフィードバックもないし、受注にも結びついていない。適当にあしらっているんじゃないか?」と。

 

 

お互いの仕事を非難して、組織の壁が高く厚くなってしまいます。

 

これでは、売上が思うように伸びないのも、ある意味当然です。

 

これを解決にするには、営業とマーケティング双方の知識と経験を持った管理者が、定期的にミーティングを開き、現状把握→課題の抽出→解決策の共有を働きかける必要があります。

 

 

・商談や顧客の状況をマーケティング部門に正しく伝え

・どうすれば質の高い問い合わせを増やせるのか

 

お互いが思いやりを持って、協力し合う風土が出来上がれば、力強いセールスの仕組みが出来上がります。

 

マーケティングと営業は、両輪であり、どちらかが欠けても事業の成果をもたらすことはできません。

 

御社は、マーケティング部門と営業部門の融合に力を注いでいますか?