とことん「本質追求」コラム第87話 ジャストアイディア商品では、儲かりません。

「アイディアを盗まれたくないから言えません…」

 

コンサルティング現場で、時々出くわすアイディアの出し渋り…。

既存の商品の構成要素を一旦バラバラに分解して、再構築するプロセスを踏んでいると、想像していかなったアイディアがポンと出たりします。

 

そのアイディアが「売れるかも!」という予感をしたときほど、ワクワク、ソワソワするものはありません。

ただ、最初に出たアイディアというのは、いわゆるジャストアイディアで、そのままでは使いモノになりません。

単なる思いつきのアイディアから、「ネーミング」「デザイン」「パッケージ」「価格」「流通チャネル政策」「セールスのやり方」「メンテナンスや保守」などなど、消費者の目線から、その商品が売れるための構成要素を一つ一つ丁寧に磨いていく必要があります。

そして、磨き上げた構成要素を、一つにカタチとして築き上げていくことで「売れる商品」になるわけですが…

ジャストアイディアの段階から、発表するのをためらい、細部を磨こうとしないのはあまりにも勿体ない。

ジャストアイディアは、一旦外に出して、徹底的にブラッシュアップしないと売れるカタチにはならないのです。

事業を成功させるには、商品を構成する様々な要素が一つのコンセプトに集約されるよう企画段階から販売プロセスをデザインする必要があります。

でも、アイディアだけで成功すると考えてしまう…。 
これは本当に大きな間違いなのです。

 

とくに営業現場から出てきたアイディアには要注意です。

営業は、自分と付き合いのある顧客とのやり取りから汲み取った情報だけで、モノゴトを考える傾向が多く、視野狭窄に陥っているケースがよく見受けられます。

しかも、顧客からの「あんなものが欲しい、こんなものが欲しい」という情報は、すでにニーズが健在化していて、陳腐化し始めた情報。

ニーズが健在化しているから、既に競合商品があったり、なくても代替商品があるが普通です。

こういう「要求充足思考」では、売れたとしてもたいして儲かりません。 
要求に対応するだけだから、顧客の方が上位であり、価格の上限も決まっており、競争にもまみれています。 
つまり、利益のあがらない構造になっているのです。

逆に、健在化していない「欲求」を刺激するような商品は、爆発力を備えています。 
顧客がまだニーズを認識できてないため、競争もなく、価格決定権はメーカーやサービス提供会社側にあります。 
つまり、構造的に利益がとれる市場という事になります。

こういった「欲求対応思考」から生まれた商品は、会社にとってのドル箱商品になる可能性を秘めているわけですが…。

難しいのは、潜在的な欲求を刺激するので、啓蒙コストが甚大になり、販売活動に関わる費用の圧迫で、粗利は稼げても営業利益がでにくい構造になりがちという事。

いかに、販売活動にかかわる費用を抑えながら、「売れる仕掛け」をつくれるか… 
これが成功のキーファクターになっていくのです。

だからこそ売れる仕掛けをつくりこむためには、商品を構成する要素一つ一つに情報発信力を備え付けがごとく、磨き上げていく工程が必要になるのです。

神は細部に宿る…。これを無視して成功はありえないのです。