とことん「本質追求」コラム第481話 売上増に貢献する営業マンの適性の見抜き方

 

 

「先日のコラムで気になったところがありまして…。“自社の取扱商材に適した人材の採用ノウハウ”は、ぜひ当社でも取り入れて行きたいのですが、具体的にどうやれば良いですかね?」

 

先週末コラムを読んだクライアント企業の社長から、ご質問を頂きました。

 

藤冨もこれまでにクライアント企業の要望を受けて、営業マンの採用面接にはかなり立ち会ってきました。

面接時には物凄い覇気があったのに、初出社時に立ち会ってみると、その覇気がゼロ…汗。

社長と目を合わせて『誰?あの人…』と苦笑いした経験など、手痛い経験を幾度となくしてきました。

 

20代後半のサラリーマン時代もすでに管理職だったので、部下の一次面談もしていました。

率直な感想は、20年前と比べて応募してくる人達が、面接慣れしているのか…面接時と採用後の印象が全く違うことが多くなっている様な気がしてなりません。

 

藤冨は採用のプロではないので、その辺りは人事の専門家に任せますが、「自社の取扱商材に適した営業マンの採用ノウハウ」に絞ってお伝えしていきたいと思います。

 

まず、【自社商材の販売先】について、大きく2分して考える必要があります。

 

「毎度あり営業(毎度ありがとうございます)」と「はじめまして営業」の二つは、全く似て非なるもので、適性も全く異なります。

 

毎度あり営業は、いわゆる「ルートセールス」であったり、「既存客の追加受注の窓口」となる営業マンです。

 

すでに自社商品・サービスの購入体験があるため、営業活動で最も壁が厚く高い「心理的ブロック」が無い状態にあります。

前回の購入体験が良い体験であればあるほど、2回目以降の購入障壁は低く、営業マンの資質的な相違は売上にさほど影響していきません。

 

好感度が一定以上ある第一印象を与えられること

商品知識や競合他社情報を勉強する意欲があり、顧客の質問に的確に答えられること

 

この二つの要素があれば、十分です。

 

商品知識を吸収し、それを伝える力を見るのは簡単。

自社の取扱商品の紹介トークスクリプトを覚えさせて、その場で「ロープレ」させれば良いだけです。

緊張しやすいタイプか否かも見られるし、記憶力や口調の好感度もチェックすることが出来ます。

 

 

ただし、前回の購入品やサービスよりも高単価の商材をお勧めし、売上をあげる人材を求めること、または、別の取扱商品を複数販売し、商いを広げていける様な人材を求めるのであれば、上述の資質だけでは不十分。

 

次にあげる「はじめまして営業」の資質をも兼ね備えていなければなりません。

 

「はじめまして営業」は、初対面の人に対して営業するケースですが、この「はじめまして」にも2種類あります。

テレアポや飛び込みなど、招かざる客として営業するケース。

もう1つは、先方から問い合わせを受けて、接客する営業のケースです。

 

後者は「毎度あり営業」に必要な資質を備えていれば、問題ありません。

問い合わせをしてくる以上、購入意欲はそれなりにあるためです。

 

しかし、招かざる客として営業しなければならない場合は、高いストレス耐性を備えていないと、入社後1ヶ月で退職…。

なんて例も少なくありません。

 

高いストレス耐性を備えているか否かは、上述のロープレを「ビデオ撮影」などをするとある程度は見えてきます。

客観的に見られているところで、いかに冷静さを保てるか。

嫌味な相手や怖い相手などにも、営業で言うべきことを淡々と言える「冷静さ」は、はじめまして営業には、必要不可欠です。

 

以前なら「圧迫面接」などでストレス耐性を見てきた企業も、今の時代は控えざるを得ません。

 

ストレス耐性を見るには、相手の人格を否定しない配慮を施しながら「強いプレッシャー」がかかる質問なり、テストを施すと良いでしょう。

 

 

次に【商品特性】として「BtoB商材」か「BtoC商材」かによっても変わります。

 

「BtoC商材」は、基本的に意思決定者が一人です。家族がいて誰かが主導権を握っているケースが大変。

従って、感性に訴えかける営業パターンが多く、好奇心が強く、幅広い生活行動範囲を持った人が適任であるケースがほとんどです。

 

また「BtoB商材」は、意思決定者が複数いて、担当者、社長など複数の人たちが購入の意思決定に参加してきます。

従って、ロジカルな組み立てが必要になるケースが多いです。

 

コピー機1台売るにしても、対顧客への見え方(営業マンが客前に持っていく資料)、使用者の使い勝手や利用時間、ランニングコスト、環境への配慮などなど、購入商品に関与する人たちが、何を求め、何にメリットを感じるのか、を予め掌握し、説得力ある営業トークや提案書をまとめ上げる必要があります。

 

この様な資質を見極めるには、前回のコラムでもお伝えした「キーエンス」が採用している説得面接が有効です。

 

 

「犬が嫌いな人に犬を勧める」

「ビットコイン などを胡散臭いと思っている人に仮想通貨投資を勧める」

 

など、お題を与え、その場で「相手の状況を聞き出すヒアリング事項を整理させたり」「相手の状況を汲み取った上でどう営業トークを組み立てるか」を面接官がチェックするのです。

 

状況掌握力

商談構築力

説得力

 

BtoB商材」の営業マンに必要な資質を一通りチェックすることができます。

 

これに+α 自社が販売している商品説明を一通りした上で、「当社商品を顧客が必要としている理由や顧客が実現しようとしていることを三つあげよ」とお題を与え、自社商品との相性や感性さらには「論理的思考」ができるか否かをチェックすることが可能になります。

 

こうして採用した人材の「採用後の評価」を蓄積し、面接官の感性を磨くことが出来れば、自社の取扱商材に適した人材像が浮き彫りになっていきます。

 

御社は、自社の取扱商材に適した人材採用ノウハウを蓄積していますか?